財団概要
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理事長挨拶

理事長 垣添 忠生

当財団は、平成8年3月に設立されました。初代理事長に森 亘先生をいただき、原子力業界や電力業界を初めとする多くの企業等からの財政支援も豊かにいただき、順風満帆の船出をしたのです。二代理事長に平尾泰男先生を迎え、ときあたかも原子力の医学応用はますます盛んとなり、放射線無くして医療は成立しない時代を迎えていました。また、陽子線治療や重粒子線治療など新しい原子力技術も一層大きな発展を見せ、それらに関連する人材育成や研究の重要性など、当財団に対する世の中の期待も大きく膨らんで参りました。

特に重粒子線治療は、第一号機が千葉県の放射線医学総合研究所で、サッカー場ほどの広大な地下加速器を使って開始され、第一次対がん十ヶ年総合戦略の、当時の科学技術庁の看板技術として発足したものです。以来、約30年、すべて臨床研究として次々とプロトコールを改訂しながら、7,000人以上のがん患者に治療が進められました。この研究を通じて、骨・軟部腫瘍、前立腺がん、早期の肝がん、肺がんなどに著効を示すことが明らかとなり、わが国発の巨大医療技術として国際的にも注目されています。

当財団は、こうした放射線医療を下支えする、計測校正事業や、粒子線治療に係る医師、放射線診療技師、医学物理士等医療スタッフの人材育成、研究助成、国民に対する放射線の知識普及などに多大な貢献をしてきたと自負しております。わが国は、世界最速で超高齢社会に移行しつつあり、がん、認知症など高齢者に多い疾病の激増が見込まれ、その診断、治療に果す医用原子力技術の重要性は増すばかりです。当財団は、非営利・公益的組織として、将来にわたりその重責を果たしていく必要があります。

人類が利用可能なエネルギーとして原子力を手にしたのは最近のことと申せましょう。不幸にして最初の結果が原子爆弾の形であったために、さらには先般の原発事故があったために、現在では「原子力」という言葉が忌まわしい響きを与えることがあります。しかしながら、そこに包含される科学技術は広い応用範囲が有り、英知をもって正しく利用するならば、人類にとってさらには自然にとって大きな有益性をもっております。

私どもの公益財団法人医用原子力技術研究振興財団は、このホームページによる情報発信を通じて、その活動状況を皆様方に少しでも広く知っていただくとともに、「医用原子力」という領域についてのご理解とその発展をお助けいただくことにつながればと願っております。このホームページを通じ、当財団の活動、成果をその都度、折に触れて報告し、さらなるご指導、ご叱正を賜りたく願うものであります。私は、第三代理事長として、その職責に邁進する所存です。何卒、今後とも変わらぬご支援をお願い申し上げます。

公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団
理事長 垣添 忠生